現在、市内に残る郷土芸能(きょうどげいのう)として、鈴木地区に江戸時代(えどじだい)より伝わる鈴木ばやしがあります。この鈴木ばやしは笛(ふえ)、太鼓(たいこ)、鉦(かね)のリズムに乗って、シシ舞(ま)い、おかめ踊(おど)りなどを舞うものです。
小平における青年教育(せいねんきょういく)の先覚者(せんかくしゃ)であった深谷定右衛門(ふかやさだえもん)が、弘化4年9月、今から141年前に青年たちの娯楽(ごらく)として普及(ふきゅう)させたのがはじめであったといわれています。
市内に残るこの鈴木ばやしを市の郷土芸能として保存(ほぞん)するために、昭和45年、鈴木ばやし保存会(ほぞんかい)が設立(せつりつ)され、鈴木ばやしの普及(ふきゅう)と後継者(こうけいしゃ)の養成(ようせい)を主な事業(じぎょう)として地域(ちいき)の祭礼(さいれい)や市民まつりなどで活動(かつどう)しています。
鈴木ばやしのハイライト(1分程度)を動画で見ることができます。
きつねの踊りには、白ぎつねの天狐(てんこ)と赤ぎつねの踊りがあります。白ぎつねが修行を積んだ神(かみ)の使者(ししゃ)とすれば、赤ぎつねは修行前(しゅぎょうまえ)の野生(やせい)のきつねといえます。この場面(ばめん)は、身軽(みがる)で自由(じゆう)に飛び回る若さを表現(ひょうげん)しています。
獅子は、伝説上(でんせつじょう)の霊獣(れいじゅう)とされ、天下泰平(てんかたいへい)と万民(ばんみん)の幸(しあわ)せを祈(いの)って踊ります。この場面(ばめん)は、激しく勇壮(ゆうそう)な動きです。この獅子に頭をかんでもらうと健康(けんこう)で利口(りこう)になるという言い伝えがあります。
まつりで人気(にんき)のある仁羽(にんば)の曲(きょく)に合わせ、「道化(どうけ)」とも言われるひょうきんなお面(めん)をつけて踊ります。この踊りでは日常生活(にちじょうせいかつ)からとった場面(ばめん)が多く見られます。
仁羽(にんば)の曲中(きょくちゅう)、ねんねこ(子守歌)の部分です。おかめが赤ん坊に見立てた獅子頭(ししがしら)を持ち、寝かしつけている場面です。子どもを育(そだ)てようとする母(はは)の愛情(あいじょう)を表現(ひょうげん)しています。
秋の収穫(しゅうかう)のころ、たぬきが豊年万作(ほうねんまんさく)の畑(はたけ)を見ながら満足気(まんぞくげ)に踊ります。手には酒(さけ)の入った徳利(とっくり)を持ち、ほろ酔い気分です。この場面(ばめん)は、豊作(ほうさく)の喜びを表現(ひょうげん)しています。
仁羽(にんば)の曲中(きょくちゅう)、たぬきの踊りからおかめの踊りへ移り変わる場面(ばめん)です。両者(りょうしゃ)ともコミカルな味(あじ)を出そうと熱演(ねつえん)しています。