トップ > 市政情報 > 市の紹介 > 歴史・文化 > 影絵 (小平市の昔話)

影絵 (小平市の昔話)

更新日: 2010年(平成22年)1月1日  作成部署:企画政策部 秘書広報課

  • ツイートする
  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る
 

そのころの明かりは、天井からコードでつった電球の電灯だったの。

コードが長いから笠の上で手繰(たぐ)って丸め、ひもで縛っておくのが、普通だったね。

薄暗くなって電球のスイッチをパチンとひねると、ぱっと明るくなるでしょ。そうすると壁やふすま、障子にいろんな影が映るの。

歩けば影は伸びたり縮んだり動くんだよ。

障子に映る影は、近づくと小さくなり、離れると大きくなって、ただの影だけど、おもしろかったね。

影絵のときは、電灯を畳の上から七、八十センチぐらいのところまで下げるの。

それで明かりの前にかざした手で、いろんな形を作って映すんだよ。きつねやうさぎは、片手で簡単に出来るし、

両手を組み合わせると、犬やおおかみ、とんび、ちょうちょ、やかんと、いろんな形が出来るの。

それがとっても楽しくて、みんなで次々やっていると、晩酌しているじいちゃんの十八番が飛び出すのよ。

それはね、船頭さん。握り拳(こぶし)におちょこをかぶせて、箸(はし)の櫂(かい)を持たせると、影が船頭さんにそっくりになるの。

それでもう片方の手を舟にして、ギッチラ、ギッチラとこぎ出してくるのよ。

とっても上手で、思わずみんな手をたたいたね。

兄ちゃんは手じゃなくて、自分の影を映すの。それで「大入道だぞう」って、だんだん影を大きくしながら覆(おお)いかぶさって

飛びかかるから、「キャー」って逃げるのが、怖くておもしろかったね。

小さな妹や弟たちも、簡単なきつねや犬を教わって影絵を映すの。指がうまく組めないと、思う形にならないし、

光の当て方しだいでいい影絵にならないこともあるから、ほめてもらいたい一心で真剣にやっていたね。

「上手にできた」と言われると、うれしそうだったよ。

それからこんなこともあったよ。外が暗くなってから帰るとき、街灯の下を通るでしょ。

はじめは後ろに長く伸びていた自分の影が、歩くにつれて縮んでくる。街灯を過ぎると、影は前に移って、今度はだんだん長くなる。

走ると影も走る。離れない。急におっかなくなって、家までかけ通しにかけて、帰ったこともあったね。


お問合せ先

〒187-8701 
小平市小川町2-1333 市役所3階

秘書広報課広報担当

電話:042-346-9505

FAX:042-346-9507

このページの情報は役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

よりよいコンテンツ作成のための参考とさせていただきます

検索したい文言を入力してください

ページトップに戻る