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~江戸の下水道~

更新日: 2011年(平成23年)8月25日  作成部署:環境部 下水道課

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ふれあい下水道館で過去に開催された、下水道の文化にまつわる特別講話会での講話内容を掲載しています。

江戸の下水道のしくみ

(1) 江戸の下水道の仕組み

 江戸の町について書かれた本の中に「水道はあったが、下水道はなかった」と、断言するものがいくつかあります。これは、「下水道を水洗便所の利用が可能な施設である」としての記述です。しかし今でこそ、「下水道は屎尿処理が可能な施設である」ということが常識となっていて、下水道の普及した地域では、便所の水洗化が義務付けられているが、東京都区部においても昭和30年代までは、水洗トイレ排水を受け入れ、最終的に下水を処理する下水道のほか、家庭雑排水と雨水のみを受け入れる、下水を単に排除するだけのものとが並立して存在していました。

 江戸の下水道は、下水(屎尿を含まない)を排除するだけのもので、屎尿は汲取られて近郊の農村で肥料として利用されていました。

 町人が多く住んでいた長屋を例にして、江戸の町の下水排除の仕組みについてみると、概ね次のような状況でした。

 長屋の入り口を入ると土間があり、そこに台所がつくられていました。台所で使う水は、長屋の井戸から汲んで水瓶へ運んだものであり、大切に使われました。台所からの排水は木樋や竹筒で家の外へ出し、長屋の路地の真ん中を流れている「どぶ」に排除しました。幅が6、7寸(約18~21cm)ほどの、丸太の杭で支えられた木組みのものや石組みのものです。底が張られ、板の蓋が掛けられていました。ここには、長屋の人々が洗濯や食器などの洗い物をする、井戸端の共同の流し場からの排水も流れ込んでいました。井戸は、江戸時代中期以降になると、掘り抜き井戸も増えてきたが、多くは神田上水や玉川上水の水を汲揚げる水道井戸でした。さらに、雨水もこの「どぶ」に集まってきます。

 長屋の路地から敷地外の「どぶ」に繋がる手前には、桝が取付けられていました。桝は複数の「どぶ」を1ヶ所に集めたり、下水の流れる方向を変える所に設けられました。そして、町境から道路を横切って隣町の「どぶ」に繋がっていました。  

 道路を横切るものは「横切下水」といわれ、橋が架けられていました。ちなみに、「雨落下水」は、道路に降った雨や家の軒先から落ちる雨を受け入れていた道路端の今でいう側溝を指します。また、「埋下水」は地面の下に布設した暗渠の下水道のことです。

 このようにして、町から町へと「どぶ」は繋がり、最終的には近くの堀や川に出ていきます。下水が堀や川に流れ出る所には、杭を横に並べて、あるいは合掌造り風に打ち込んであり、ここで下水と一緒に流れてきたゴミを取り除きました。

明治後期頃の南割下水

(2) 江戸の堀・川と現代の下水道

 江戸の町は、現在の東京からは想像もできないほどのたくさんの堀や川が流れ、これらが下水道幹線の役割を果たしていました。

 現在の下水道との関連をみると、たとえば、王子(現・北区)付近で石神井川から分岐し、中里(現・北区)・尾久・日暮里(現・荒川区)・根岸(現・台東区)を経て、三の輪(現・台東区)で山谷堀と思川とに分かれていた「音無川」の跡は、日暮里付近から三の輪付近までが「音無川幹線」になっています。三の輪付近で「分水堰」を超えた下水は、「山谷堀上流」跡につくられた「雨水渠」を通じて、日本堤ポンプ所へ入ります。日本堤ポンプ所には、「浅草新堀川」跡につくられた「元浅草幹線(雨水渠)」からの下水も入ってきます。日本堤ポンプ所から排水された下水は、「山谷堀下流」の跡につくられた「雨水渠」を通って隅田川に流し出されます。「分水堰」を超えない下水は、南千住(荒川区)付近から三河島処理場に繋がる幹線に合流して、三河島処理場で処理された後、隅田川に放流されます。

 このように、江戸時代に下水道の役割を果たしていた堀や川の多く(浅草新堀川、谷田川、小石川など)は、現代の下水道に引き継がれています。

 江戸の下水道(どぶ)は、雨水排除を主眼に整備されていました。家庭からの雑排水は、現在と違って水を大切に使っていたので、「どぶ」に流される量はごく少量(たとえば、米のとぎ汁は拭き掃除に使い、さらに残ったものは植木に撒いた)であり、屎尿が下水に含まれることもなく、下水といってもそれほど汚れてはいなかったと思われます。また、雨水の一部は、溜めておいて防火用水や道路の散水に使われていました。


(おわり)


(講師:下水文化研究会会員 栗田 彰氏)

お問合せ先

〒187-0022 
小平市上水本町1-25-31

ふれあい下水道館

電話:042-326-7411

FAX:042-326-9266

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