○小平市議会基本条例

平成26年

条例第5号

目次

前文

第1章 総則(第1条)

第2章 議会及び議員の活動原則(第2条―第4条)

第3章 市民と議会との関係(第5条―第9条)

第4章 議会と行政との関係(第10条―第12条)

第5章 議会における審議と議会の機能強化(第13条―第20条)

第6章 議員間の自由討議(第21条―第23条)

第7章 委員会の活動(第24条・第25条)

第8章 議員の政治倫理、議員定数及び議員報酬の改正(第26条―第28条)

第9章 政務活動費(第29条)

第10章 議会と議会事務局の体制(第30条―第33条)

第11章 条例の位置付けと見直し(第34条・第35条)

附則

地域のことは地域の住民が責任をもって決める地方自治の時代にあって、小平市議会(以下「議会」という。)は、持てる機能を十分に駆使して、市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映することが求められている。

議会は、二元代表制の下、直接選挙によって選ばれた議員による市の最高意思決定機関及び議事機関として、市民の生活向上と福祉の充実のため、市民の負託に応える役割と責務を担っている。

そのために議会は、日本国憲法で保障する国民主権の原理に基づき、合議機関としての特性を十分に生かし、市民への情報提供及び市民との情報共有を図りながら市民参加を進め、市政の執行を監視し、市民本位の政策立案や政策提言を積極的に行っていかなければならない。

ここに議会は、住民自治の実現を目指すとともに、小平市自治基本条例(平成21年条例第27号)の議会の責務に基づき、主権は市民にあることを常に自覚し、不断の議会改革を進めることを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、二元代表制の下、合議制の機関である議会の役割を明らかにし、議会の基本的事項を定めることにより、地方自治の本旨に基づき市民の負託に応え、市民福祉の向上及び公正かつ民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の役割と活動原則)

第2条 議会は、議事機関として、条例の制定及び改廃、予算の議決、決算の認定、行政の監視及び評価等の役割を担うものとする。

2 議会は、市民に開かれた議会を実現するため、情報提供を積極的に行い、市民参加の促進に努めるものとする。

3 議会は、政策立案及び政策提言に関する機能の強化を図るものとする。

4 議会は、市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映させるための運営に努めるものとする。

5 議会は、市民に説明責任を果たすため、分かりやすい説明をするように努めるものとする。

(議員活動の原則)

第3条 議員は、自由かったつな討議を通して市政の論点及び問題点を明らかにし、市民に対し、情報提供を積極的に行うものとする。

2 議員は、議会活動と議員活動について位置付けを明確にした上で、議会活動が優先的な活動となるよう努めるものとする。

3 議員は、市政の課題について市民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研さん等に努めるものとする。

4 議員は、議会の構成員として、一部の団体及び地域の個別的な課題の解決にとどまらず、市民全体の福祉の向上を目指して活動するよう努めるものとする。

(会派)

第4条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。

2 会派は、政策を中心とした理念を共有する議員で構成する。

第3章 市民と議会との関係

(市民参加及び市民との連携)

第5条 議会は、全ての会議を原則として公開する。

2 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第100条の2に規定する学識経験を有する者等(以下「学識経験者等」という。)による専門的調査を活用するよう努めるものとする。

3 議会は、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下これらを「委員会」という。)において、法第109条第5項の規定において準用する法第115条の2の第1項の規定による公聴会における利害関係者等の意見聴取又は同条第2項の規定による参考人の意見聴取(以下「参考人制度等」という。)を活用して、専門的識見、政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。

4 議会は、議員の政策立案の能力を向上させ、政策提案の拡充を図るため、市民との意見交換の場を設けるものとする。

(議会報告会)

第6条 議会は、市政の諸課題に柔軟に対処するため、市政全般にわたって、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する議会報告会を毎年2回以上、行うものとする。

(議会広報の充実)

第7条 議会は、議案に対する各議員の対応を議会広報で公表し、情報の提供に努めるものとする。

2 議会は、情報通信技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用し、市民が議会及び市政への関心を高めるよう議会広報活動の充実強化に努めるものとする。

(広報・広聴委員会)

第8条 議会は、広報及び広聴の機能を充実させるため、議員で構成する広報・広聴委員会を設置することができる。

(意見公募手続)

第9条 議会は、基本的な政策等の策定に当たっては、意見公募手続を行うことができる。

第4章 議会と行政との関係

(議員と市長等との議会審議等)

第10条 議会の審議等における議員並びに市長その他の執行機関及びその職員(以下「市長等」という。)は、次項及び第3項の規定により緊張ある関係の構築に努めるものとする。

2 議員は、市長等に対する質疑及び質問について、広く市政の課題に関する論点及び問題点を明らかにするため、一問一答の方式で行うことができる。

3 本会議又は委員会に出席した市長等は、議員から質疑及び質問を受けたときは、その論点を整理するため、答弁に必要な範囲内で、議長又は委員長の許可を得て当該議員に対し反問することができる。

(文書による質問)

第11条 議会は、市長等に対し、文書により質問を行い、文書による回答を求めることができる。

2 文書による質問の手続に関し必要な事項は、別に定める。

(市長等による政策形成過程の説明)

第12条 議会は、市長等が提案する重要な政策、計画、事業等について、議会審議において論点を整理し、政策の水準の一層の向上を図るため、次に掲げる事項の説明を行うよう求めることができる。

(1) 当該政策を必要とする背景

(2) 当該政策の提案に至った経緯

(3) 長期総合計画基本構想との整合性

(4) 当該政策の実施に要する経費及びその財源措置

(5) 将来にわたるコスト計算

(6) 市民参加の実施の有無及びその内容

(7) 他の自治体の類似する政策等との比較又は評価

2 議会は、提案される予算案及び決算の審議に当たっては、分かりやすい政策説明の資料を作成するよう求めるものとする。

第5章 議会における審議と議会の機能強化

(災害時の議会等の対応)

第13条 議会及び議員は、災害による不測の事態が生じたときは、市民の生命及び財産を保護するため市長等と連携し、災害対策の対応に努めるものとする。

2 議会及び議員は、災害の発生に備えるため、平常時から地域の情報を把握するとともに市長等と情報を共有するように努めるものとする。

(法第96条第2項の議決事件)

第14条 法第96条第2項の規定に基づく議決すべき事件は、別に定めるもののほか、市政にとって重要な計画等であって、議会と市長等が市民に対する責任を担うものとして次に掲げるものとする。

(1) 長期総合計画基本構想

(2) その他別に条例で定めるもの

(行政計画の報告と調査)

第15条 議会は、市長等が各行政分野に係る基本的な計画(以下「行政計画」という。)を策定し、変更し、又は廃止しようとするときは、所管する委員会等へ報告を求めるものとする。

2 議会は、行政計画について所管する委員会で、積極的に所管事項の調査に努めるものとする。

(議決責任)

第16条 議会は、議決責任を深く認識し、議案等の議決又は意思決定若しくは政策決定を行ったときは、市民に対して説明する責務を有する。

(議会の機能強化)

第17条 議会は、市政の執行の監視及び評価並びに政策立案及び政策提言に関する機能の強化を図るものとする。

2 議会は、学識経験者等の専門的知見及び参考人制度等を積極的に活用するよう努めるものとする。

(調査機関及び検討会等の設置)

第18条 議会は、市政の課題に関する調査のため必要があると認めるときは、学識経験者等で構成する調査機関又は議員で構成する検討会等を設置することができる。

(会期の運用)

第19条 議長は、必要な会期について議会運営委員会に諮り、本会議において決定するものとする。

2 議長は、前項に規定する会期の決定については、法第179条第1項の規定による市長による専決処分を最小限にするよう決定しなければならない。

3 議長は、法第101条第2項の規定による臨時会の招集の請求を適切に行うものとする。

(議長及び副議長)

第20条 議長は、議会を代表し、議会の秩序保持及び議会事務を統理し、合意形成に向けた調整及び政策の調整を行い、公平公正な議会運営に努めなければならない。

2 議長及び副議長は、議員による選挙で選ばなければならない。

3 議長及び副議長の選挙においては、所信表明する機会を設けなければならない。

4 副議長は、議長を補佐し、議長に事故があるとき又は議長が欠けたときは、議長の職務を行うものとする。

第6章 議員間の自由討議

(議員間の自由討議)

第21条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員間の自由な討議に努めるものとする。

2 議員は、本会議及び委員会において、議案の審査等を行うに当たっては、合意形成に向けた議員間の自由討議の議論を尽くすように努めるものとする。

3 議会は、議員間の自由討議を行うときには、市長等に対する本会議、委員会等への出席要求を必要最小限にとどめるものとする。

(政策立案及び政策提言)

第22条 議会は、政策水準の向上を図るため、政策立案の機能強化に努め、条例の提案、議案の修正、決議等の政策提案を行うとともに、市長等に対し政策提言を行うものとする。

(政策討論会)

第23条 議会は、市政に関する重要な政策及び課題に対して、共通認識の醸成と合意形成を図り、政策提案及び政策提言を積極的に行うため、政策討論会を開催するものとする。

第7章 委員会の活動

(委員会の運営)

第24条 委員会は、市政の諸課題を適正に判断し、委員会の専門性及び特性を生かした適切な運営に努めるものとする。

2 委員会は、所管に係る市政の課題について議案等の審査、所管事務等の調査及び政策提言を積極的に行うよう努めるものとする。

3 委員会は、審査に当たり資料を積極的に公開し、市民に分かりやすい議論を行うよう努めるものとする。

4 議会は、常任委員会、特別委員会等の委員長及び副委員長で構成される正副委員長協議会を設置することができる。

(議会運営委員会)

第25条 議会運営委員会は、主として議会運営及び議長の諮問に関する事項を協議するものとする。

第8章 議員の政治倫理、議員定数及び議員報酬の改正

(議員の政治倫理)

第26条 議員は、高い倫理的義務が課せられていることを深く自覚し、良心と責任を持ち、議員としての品位の保持に努めるものとする。

(議員定数)

第27条 議員定数に関する条例の改正の議案は、法第74条の請求(以下「条例制定改廃請求」という。)による場合又は市長が提出する場合を除き、検討経過等を明らかにし、明確な改正理由を付して委員会又は議員から提出するものとする。

2 議員定数に関する条例の改正の提案に当たっては、市政の課題及び将来展望、市民の多様な意見の反映等の視点を十分に考慮するとともに、市民を含む第三者機関による議会活動の客観的な評価等を参考にするように努めるものとする。

(議員報酬)

第28条 議員報酬に関する条例の改正の議案は、条例制定改廃請求による場合又は市長が提出する場合を除き、明確な改正理由の説明を付して委員会又は議員から提出するものとする。

2 議員報酬に関する条例の改正の提案に当たっては、市民の多様な意見を参考にするように努めるものとする。

第9章 政務活動費

(政務活動費)

第29条 議員は、議会の審議能力を強化し、議員の調査研究活動の充実を図るため、政務活動費を厳正かつ適切に活用するものとする。

2 会派及び議員は、公正で透明性ある政務活動費の支出に努め、その使途を積極的に公開するものとする。

第10章 議会と議会事務局の体制

(議員研修の充実)

第30条 議会は、議員の資質の向上を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。

2 議会は、学識経験者等及び市民による議員研修会を積極的に開催するものとする。

(予算の確保)

第31条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能の充実を図るため、必要な予算の確保に努めるものとする。

(議会事務局)

第32条 議会は、政策提案機能、立法機能、監視機能及び調査機能を補助させるため議会事務局の機能の強化に努めるものとする。

(議会図書室)

第33条 議会図書室は、議員だけでなく一般もこれを利用することができる。

2 議会は、議会図書室の適正な管理及び運営をし、その機能の強化に努めるものとする。

第11章 条例の位置付けと見直し

(他の条例等との関係)

第34条 議会は、この条例が議会の基本的事項を定める条例であることを自覚し、議会に関する他の条例その他の規程を制定し、又は改廃する場合においては、この条例との整合を図るものとする。

(条例の見直し)

第35条 議会は、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において常に検証し、必要に応じてこの条例の見直しその他の適切な措置を講ずるものとする。

(平成26年3月28日・平成26年条例第5号)

この条例は、公布の日から施行する。

小平市議会基本条例

平成26年3月28日 条例第5号

(平成26年3月28日施行)

体系情報
第2編 議会・選挙・監査/第1章
沿革情報
平成26年3月28日 条例第5号