小平市役所
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私が子どものころは、小平は家がポツポツあるほかは、ほとんど畑だったの。道も舗装をしていないところが多くて、道端には草がたくさん生えていたよ。そこでおおばこを取って遊んだよ。長く伸びた花の茎で草相撲をするの。茎と茎を絡(から)ませて、引っ張りっこをして、切れたほうが負け。松葉でも同じようにして遊んだよ。
春には用水の土手でつくし摘み。ぽかぽかと暖かい土手で、ひなたぼっこしながら、つくしを見つけて採るのが、とっても楽しかった。たくさん採ると家に持って帰って、おひたしや、つくだ煮にしてもらうの。ほろ苦くておいしんだよね。
土手にはしろつめくさ(クローバー)もたくさんあったの。四つ葉を見つけると幸せになるって言って、みんなで探したもんだよ。春から夏には白いかわいい花が咲いてね。それを採って花と花を絡(から)ませてつなげていくこともしたよ。花二輪で指輪が作れるんだけど、もう少し長く編めば腕輪ができるし、もっと大きな輪なら、頭にかぶる冠になるんだよ。それより長くすると首飾りになった。しろつめくさの花は、かすかに、いい香りがして、腕輪や首飾りをすると、とてもいい気分になるんだ。それで遊んだあとの花を、やぎにあげると、喜んで食べたよ。やぎを飼っている家があって、昼間は土手につないでいたからね。
花といえば、小平ではところどころに植木畑があって、つつじの木をたくさん栽培していたんだよ。春は赤い花が咲いてとってもきれいなの。その花を摘んで、付け根のみつを吸うと、ほんのり甘くてね。一つ、二つと摘んでいるうちに、だんだん夢中になって、どんどん花を採ってしまうの。「こら」って怒られて振り向くと、植木畑の持ち主のおじさんだったりして。でも、「ごめんなさい」ってあやまれば、すぐに許してくれたよ。
そういえば昔は外に生えているものを、遊びながら、よく食べたね。小さなすすきのようなちがやの穂も食べたもんだよ。つばなって言って、五月ごろ、まだ葉から出ていない穂を見つけては食べたね。かむと甘い味がしたよ。そのころは、空気もきれいだったし、農薬もかかっていなかったから、食べられたんだね。