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市報こだいら:2016年1月1日号8面(抜粋記事)

更新日: 2016年(平成28年)1月1日  作成部署:企画政策部 秘書広報課

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こだいらちょっとむかし

あけましておめでとうございます。

今年は日本の伝統的なお祝い事を、タマおばあさんに語ってもらいました。


ひな祭り

三月三日は桃の節句(せっく)だね。

結婚して初めて迎(むか)える桃の節句には、お嫁(よめ)さんは、実家に菱餅(ひしもち)とはまぐりをもって、里帰りをしたんだよ。

そして、お嫁さんに女の子が生まれると、実家からおひな様(さま)が届いたの。

お祝いは、ほかの親戚(しんせき)や仲人(なこうど)さんからも届いたんだよ。

ときには実家と親戚が話し合って、実家がお内裏様(だいりさま)とおひな様を贈(おく)り、三人官女(かんにょ)は親戚が、五人囃子(はやし)はまた別の親戚が贈る、なんてこともあったね。

買う店が違っていると、段ごとに顔だちが少し違うこともあったの。

お祝いには日本人形が多かったね。藤娘(ふじむすめ)や汐汲(しおく)み、高砂(たかさご)なんかもあったよ。

高砂はおじいさんが熊手(くまで)、おばあさんが箒(ほうき)を持っている人形で、長生きを願うおめでたいものなの。

お祝いのお返しとして、菱餅とはまぐりを持っていくの。

ひな人形は二月のうちに飾って、三月三日がすぎたら、すぐにしまったよ。

昔は早くしまうと、早くお嫁に行けるといわれたね。

人によっては、おひな様は火事除けの神様だから、毎年、十二日間飾ると火事にならないって、いったね。

毎年出さないと、人形が泣くなんていう人もいるよ。

うちの娘は、おひな様が大好きで、小学生のときに、こっそりおひな様のお道具で遊んでいたの。

そのうえ、お内裏様の刀を抜き差ししたものだから、今でも少し曲がっているんだよ。

おひな様には、菱餅をお供(そな)えするの。

昔は家で作っていたよ。

赤と青(緑)と白の三色の餅をついて、ひし形に切って重ねるんだけどね。

ときどき色粉(いろこ)を入れすぎて、真っ赤や真っ青になってしまうこともあったよ。

この頃は気温が高いから、桃の節句の餅は、お正月の餅よりも、かびやすいんだよ。

それで、ひし形に切るときにでる端っこの餅は、薄く切って、乾かしておくの。

網(あみ)の上で焼いて、おせんべいのようにしたり、油で揚げたりしておやつに食べたよ。

子どもたちも大好きだったの。

桃の節句のときは、五目(ごもく)ずしも作ったよ。

にんじんやしいたけ、干(かん)ぴょうを煮て、すし飯にまぜて作るんだよ。

はまぐりのお吸い物もつきものだった。

はまぐりは二枚の貝殻(かいがら)が、ぴったりと対になっている縁起の良いものだから、ひな祭りに使ったんだよね。

お節句の日には、よくうどんも食べたね。

このあたりじゃ、ご馳走(ちそう)といえば、うどんだったからね。

家で作るから大変だけど、地粉(じごな)はこしがあって、のめっこくって(なめらかで)、とってもおいしいんだよ。

お嫁さんもうどんが作れなきゃ一人前じゃないって、いわれたもんだね。

端午(たんご)の節句

五月五日は「端午(たんご)の節句」で、子どもの成長を願って、家じゅうで、お祝いをしたんだよ。

このあたりでは、男の子が生まれてはじめてのお節句を初節句(はつぜっく)というの。

四月になると、お嫁さんの実家や仲人、親類などがお祝いを持ってきてくれてね。

お嫁さんの実家からは、大きな鯉(こい)のぼりや吹き流しが多かったね。

仲人さんや親類などは、五月人形や鯉のぼりだったの。

鯉のぼりのかわりに、武者絵(むしゃえ)の大きなのぼりの家もあったね。

外に立てる鯉のぼりのさおは、人を頼んで大きい杉の木で作ってもらったの。

さおには綱(つな)を張って、吹き流しやいくつもの鯉のぼりをつけ、朝上げて、夕方には下ろしたんだよ。

家によっては外に立てる「外のぼり」が大変だからと、家の中に飾る「内のぼり」にする家もあったわね。

内のぼりは長さが80センチぐらいあって、鍾馗様(しょうきさま)や宝船(たからぶね)などが描かれていたの。

五月人形は、坂田(さかた)の金時(きんとき)(金太郎)、桃太郎、鍾馗様などの勇ましいのが多かったね。

庭には大きな鯉のぼりが、座敷には内のぼりやたくさんの人形が飾られて、みんなも元気をもらったようだったね。

お祝いのお返しは、柏(かしわ)餅とカサゴの干物(ひもの)を四月の末頃に持っていったの。

柏餅は20個から30個ぐらい重箱(じゅうばこ)いっぱいにつめて、カサゴの干物は二枚重ねて、のし、水引(みずひき)をかけてね。

つきあいの多い家は、あちこちからお返しの柏餅がくるんで、うちでは早めに持っていったの。

初節句の日は、朝から柏餅をたくさん作って、煮物もいろいろ作ったよ。

煮物には八(や)つ頭(がしら)と筍(たけのこ)は、かならず入れたの。

八つ頭は人のかしらになるように、筍は親より伸びるようにと願ってね。

お節句には、どこの家でも農作業を休んだの。

「ものぐさ者の節句働き」といって、この日に働くと笑われたもんだよ。

五月五日は「お嫁さんの節句」ともいってね、お嫁さんは柏餅をもって、里帰りをしたんだよ。

夜には魔除(まよ)けになるって、菖蒲湯(しょうぶゆ)に入ったの。

その日は府中のお祭り(暗闇(くらやみ)祭り)があってね、みんな楽しみにしていたよ。

若い衆は見物したり、お神輿(みこし)を一晩中かついだりして、朝帰りが多かったね。



タマおばあさんのお話は、いかがでしたか。感想をどうぞお寄せください。


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