市報こだいら：2020年2月20日号 1面（抜粋記事）

市報こだいら1面の記事を抜粋して掲載します。

平櫛田中とひな人形

平櫛田中（ひらくしでんちゅう）は、小平市名誉市民で文化勲章を受章した彫刻家です。
毎年、春になると平櫛田中彫刻美術館にはひな人形が展示されます。このひな人形に込められた田中の思いを紹介します。

娘に贈ったひな人形

田中には、妻と3人の子どもがいました。
しかし、関東大震災の後、子どもたちは次々と肺結核にかかり、家族で必死に看病するも長女は18歳、長男も17歳の若さで亡くなります。
失意の底にいた田中でしたが、次女・京子（たかこ）さんの結核が治り、悲しみからはい上がる糸口を見つけました。
田中は、昭和13年、娘の京子さんが結婚するとき、京子さんに頼まれ、京子さんの健やかな健康を願い、内裏びなを作って贈りました。

内裏びなは職人技の結晶

娘に送ったひな人形には、装飾や小道具、びょうぶなど、すべてに職人技が詰まっています。
人形は、田中が1本の木から作りました。
柔らかい顔立ちや衣装の美しい折り目などに、田中の技が込められています。
装飾や小道具などは職人に依頼して作られています。
うるしが塗られた台座には、ほうおうが描かれ、ひし型の文様は貝殻を使って装飾が施されています。
ほかにも、びょうぶの金具やつまみ細工のたちばなの葉など、金属加工や装飾、うるし、木工など、さまざまな職人の技が集まってできています。

大切にされたひな人形

太平洋戦争のとき、京子さんと京子さんの3人の子どもたちは自宅から山形に疎開しました。
その時、ひな人形も戦災から逃れるために長野に住む知り合いの家に避難させました。
戦後、無事上野に戻ったひな人形は、毎年2月中旬ごろになると家に飾られるようになりました。
田中は、孫のためにひな人形を飾りましたが、孫たちにはひな人形を決して触らせず、床の間を隅々まで掃除してから飾っていたといいます。
田中が孫のためにひな人形を飾ってくれることを京子さんも喜んでいました。
そんな京子さんを見て田中も満足していました。

小平に来てからは内裏びなを飾ることはなかったのですが、田中が亡くなり、平櫛田中彫刻美術館を開館してからは飾るようになりました。
職人技が集まった人形を細かいところまで見ていただけたらと思います。
平櫛田中彫刻美術館　平櫛弘子 館長

おひなさま展示

娘に送った内裏びなのほか、田中が作品づくりの参考として集めていた、江戸から大正時代にかけて作られた貴重なひな人形のうち2点を展示します。

とき
3月16日（月曜）まで

ところ
平櫛田中彫刻美術館

春の庭園でお弁当を楽しもう

春の庭園を楽しみながら平櫛田中弁当を味わいませんか。
期間中、平櫛田中弁当を美術館で受け取る方に限り、記念館和室で食べることができます。
弁当は、前日までにまるやす商店へ予約注文してください。
受け取り場所は平櫛田中彫刻美術館に指定してください。

とき
2月19日（水曜）～3月16日（月曜）（2月24日は除く）　午前11時～午後3時
(注)　観覧料がかかります。美術館の都合により中止することがあります。

協力
株式会社まるやす商店　電話042（342）0554

企画展示　花鳥風月 平櫛田中コレクションより

平櫛田中は、彫刻家だけではなく、日本美術院の日本画家や工芸家など同時代の作家たちと親しく交わりました。
展示では平櫛田中コレクションの中から「花鳥風月」や「春」をテーマとした美術作品を紹介します。

とき
2月19日（水曜）～5月17日（日曜）

ボランティアガイドによる展示解説

とき
3月7日（土曜）・29日（日曜）　午前11時から、午後1時30分から
(注)　各回30分程度。

共通

休館日
火曜日（祝日に当たる場合はその翌日）

観覧料
一般…300円（220円）、小・中学生…150円（110円）
(注)　かっこ内は、団体20人以上です。
(注)　駐車場を利用の方はご相談ください。

問合せ
平櫛田中彫刻美術館　電話042（341）0098

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2020年2月20日号 2面

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