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市報こだいら:2019年5月20日号 1面(抜粋記事)

更新日: 2019年(令和元年)5月20日  作成部署:企画政策部 秘書広報課

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市報こだいら1面の記事を抜粋して掲載します。

平櫛田中若き日の傑作

真剣なまなざしで譜面を追い、歌う少年の姿。
この唱歌君ケ代という作品は、平櫛田中が彫刻家として活動し始めたころ(明治34年)に制作したものです。
後に文化勲章を受章し、日本を代表する彫刻家となった田中。
その第一歩を踏み出した若き日の田中を紹介します。

田中の彫刻との出会い

明治5年、平櫛田中は岡山県井原市で生まれました。
15歳で大阪の商家へでっち奉公に出て、さまざまな美術工芸品と出会い興味を深めました。
22歳(明治26年)の時、田中は大阪の人形師に弟子入りします。
そこで彫刻刀の扱い方や彫刻の手ほどきを受けるうちに、彫刻家への憧れを抱くようになります。
大阪での経験は、その後の彫刻技術の基盤になりました。
この当時、田中が制作した鬼小像という小さな木彫作品が残っています。
この作品から、彫刻家としての才能の片りんを見ることができます。

彫刻家を目指して東京へ

明治30年、彫刻家を志して東京へ出た田中は、彫刻家高村光雲のもとに通うようになります。
当時、彫刻修業は10代で行うのが普通でした。
26歳だった田中は、正式な弟子のように手とり足とり技術を教えてもらうのではなく、作った作品を光雲に見せて批評してもらっていたようです。
そして、光雲のもとで出会った同世代の門下生と仲良くなり、田中の彫刻技術は磨かれていきました。
この当時、門下生の先輩、米原雲海は星取り法という彫刻の最新技法を使って制作をしていました。
田中はこの最新技法を積極的に取り入れます。
その成果として、初期の傑作唱歌君ヶ代が誕生しました。
星取り法は、石膏の原型から星取り機(特殊なコンパス)を使って木材に形を写し取る技法です

傑作 唱歌君ヶ代

ある日、田中は1人の少年に目をひかれます。
その少年をモデルにした作品が、初期の傑作、唱歌君ヶ代です。
髪の毛の1本1本、着ている服やスカーフのしわ、靴の縫い目は、とても精巧に彫られています。
見えるものすべてを細かく作り上げようとする田中の情熱が迫ってくるような作品です。
明治34年、当時の宮内省が開催する美術展覧会で、田中は初めての賞を取り、この作品は宮内省に買い上げられました。

76年ぶりの再会

田中が105歳(昭和52年)の時でした。
唱歌君ヶ代を入手した人が、作品の鑑定のために田中を訪ねてきたのです。
76年ぶりに唱歌君ヶ代に再会した田中の胸には、当時の思い出や懐かしさなどいろいろな思いが込み上げてきました。
その後も、唱歌君ヶ代は長く個人の所有でしたが、平成30年に田中の孫で平櫛田中彫刻美術館の平櫛弘子館長と、山口伸一氏によって平櫛田中彫刻美術館に寄贈され、ついに里帰りを果たしました。

平櫛田中彫刻美術館 企画展 若き日の平櫛田中

唱歌君ヶ代の展示や、田中の若き日の出会いや勉強、研究の日々を、資料と一緒に紹介します。
また、平櫛田中を解説する映像を放映すほか、作品を解説する音声案内を館内で貸し出します。

とき
5月22日(水曜)~9月8日(日曜) 午前10時~午後4時
(注) なるべく午後3時30分までに入館してください。

ボランティアガイドの展示解説

とき
6月19日(水曜)、7月27日(土曜)、8月24日(土曜)

休館日
火曜日(祝日に当たる場合は、その翌日)

観覧料
一般…300円(220円)、小・中学生…150円(110円)
(注) かっこ内は、団体20人以上です。
(注) 駐車場はありません。車で来館する方は、お問い合わせください。

問合せ
平櫛田中彫刻美術館 電話 042(341)0098

 

平櫛田中彫刻美術館 平櫛弘子館長

若いころの田中の作品は、ありのままを表現しているのが特徴です。
唱歌君ヶ代は人物の姿を余すことなく写し取ろうとする田中の熱意が強く感じられます。
ぜひ、間近で作品の迫力を感じてください。

 

 

関連リンク

2019年5月20日号 2面

2019年5月20日号 目次

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小平市小川町2-1333 市役所3階

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電話:042-346-9505

FAX:042-346-9507

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