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市報こだいら:2023年1月1日号 8面(抜粋記事)

更新日: 2023年(令和5年)1月4日  作成部署:企画政策部 秘書広報課

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市報こだいら8面の記事を抜粋して掲載します。

こだいらちょっとむかし

明けましておめでとうございます。
今年は、小平の農作物やその保存方法について、ちょっと昔のお話を紹介します。

陸稲(おかぼ)、大麦、小麦

ふつう、お米と言えば、田んぼを思い浮かべるけど、陸稲という畑でとれるお米もあるの。
小平は大きな川がなくて、田んぼはほとんどなかった。
だから畑で春から秋にかけては陸稲を、秋から春は、大麦と小麦を作っていたの。
だから自分の家で食べるお米などを、自分の畑で作る農家が多かったね。
陸稲は、田んぼでとれるお米に比べ、粘り気が少なく、ぽろぽろしていた。
しかも、ふだんは陸稲に大麦を混ぜて炊くので、炊きたての温かいうちは、まだいいけれど、ご飯が冷えてしまうと、いっそうぽろぽろして、おいしくなかったね。
だからお弁当に持っていくときは、なるべく大麦の少ないところをよそって、持って行った。お米だけのご飯が食べられるのは、お盆やお正月など、特別なときだけだったね。
陸稲にも、うるち米ともち米があるの。
陸稲のもち米でついたのは、お餅なのに、粘り気が少なくて、あまり伸びないんだけど、それでもおいしく感じたね。
お正月は、お米だけで炊いたご飯や、お餅を食べられるから、みんな心待ちにしていたよ。
小麦は、用水沿いのところどころにあった水車小屋に持っていって、粉にしたの。それを家でうどんに打ったの。
うどんは打つのに手間がかかるから、ふだんは食べられない。
でも、農作業が一段落して暇ができたときや、雨で農作業ができないときなんかに、うどんを打つの。それが楽しみだったね。
小平では糧(かて)うどんを食べていたよ。糧とは、冬はほうれん草や大根、夏はなすを細く切ってゆでたもののことなの。
その糧と一緒に、うどんを濃いめの汁につけて食べるの。手打ちうどんは、のめっこくて(つるつるして)、とてもおいしいのよ。
また、うどんのように長く良いことが続きますようにと言って、お祝い事にうどんはつきものだったね。

穴ぐら

昔、小平あたりの農家では、畑の隅っこや家の敷地の端に、かなり深い穴ぐらを掘って、農作物などを保管しておいたの。
このあたりでは、土を掘っていくと、初めは黒土だけど、しだいに関東ローム層と呼ばれる粘り気のある赤土が出てくるの。
黒土は崩れやすいので、かならず赤土が出るまで、穴ぐらを深く掘った。
入口は畳半分ぐらいの大きさで、縦穴を深く掘って、はしごで出入りした。
そして三方に横穴を掘り、大人が立って歩ける高さまではなかったけど、中は広く大きく作ったの。
穴ぐらは、温度も湿度も一定に保たれて、作物などを保存するのに、都合がよかった。
戦前まで、小平では春から秋にかけて、養蚕をやっている農家が多かったの。
蚕にやる桑の葉は毎日摘むんだけど、雨が降りそうなときには、前もって摘んで、穴ぐらに入れておいた。
蚕にぬれた桑の葉をやると、病気になってしまうからね。
秋には、桑の葉が風にあたってしおれないように、枝ごと切って、穴ぐらに入れておいた。
入れておくと、一日ぐらいは桑の葉もしゃんとしていたよ。
葉っぱといえば、五月ごろの茶摘みのときには、お茶の葉も、出荷するまで、しおれないように、穴ぐらにすぐに入れておいたね。
寒くなってくるころには、冬に備えて、さつまいもや里芋、畑でとれた野菜なども入れて、保存できたので、穴ぐらは農家の生活にとても必要だったね。
また、穴ぐらほど大きくはないけど、芋穴とか、さつま穴といって大人の腰ぐらいの穴も作ったの。
そこにはちょくちょく使う芋類や野菜を入れて、わらをかぶせ、その上に土をかけておくの。
そうすると新鮮さも保てて、すぐに掘って、使えたのでね。
穴ぐらも芋穴も、とても便利なものだったよ。

さつまいも

大正時代の終わりごろから、昭和の初めにかけて、小平ではさつまいもを作っている農家が多くて、さつまいもの本場と言われていたの。
小平の中でも、地域によって、さつまいもの出荷のしかたや方法は、いろいろだったね。
回田新田(現回田町)の方の農家では、さつまいもを洗って泥を落としてから、上物、中物などに分け、かごに詰めて、各集落の集荷場に持って行った。
そうするとトラックが集めに来て、中野の方の市場に運んでいったの。
このさつまいもは焼き芋や料理など、いろいろと使われていたらしいよ。
小川(現小川町)の方の農家では、さつまいもの出荷時期になると、朝早く、さつまいもの問屋さんが買い付けに来ていたの。
「今日はいくらで」と、日によって問屋さんが言う値段が違うから、農家ではさつまいもを値段が高いときに出したよ。
だから、さつまいもを出す日には、朝から家族総出で、さつまいものつるを切って、大きさをそろえて俵に詰めるから、大忙しだったね。
どこの家でも、二十俵(ぴょう)とか三十俵を通り(青梅街道)に面した家の常口(じょうぐち)(入口)に出しておくんだけど、夕方になって冷えてくると、さつまいもが霜げてしまう(寒さでいたむ)から、大抵昼間にトラックで集めに来たの。
このさつまいもは、山梨にある製糸工場の女工さんたちのお茶菓子にするんだと、聞いていたね。
収穫するときに傷がついたり、小さすぎたりするさつまいもは売り物にならないの。
そういうのは、自分の家で食べたり、鶏や豚を飼っている農家ではえさにした。
たくさん作っていたけど、無駄にすることはなかったの。

タマおばあさんのお話はいかがでしたか。
では、またお会いしましょう。

協力
小平民話の会

問合せ
秘書広報課 電話042(346)9505

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2023年1月1日号 1面

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